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市民地質学者が地球に関連した話題を中心として様々な話題を提供するブログです.
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身の毛もよだつような恐ろしい本である.

福島第一原発事故の推移と,事故の際に政治家,官僚,学者,企業,民間などが,どう判断しどう対応したかを「民間事故調報告書」を初め,国会事故調,政府事故調報告書を参考にし,著者による関係者への直接インタビューに基づいて,客観的にまとめられたものである.上,下2巻よりなり,総ページ数が950ページにもおよぶ膨大な本であるが,日本国民必読の書である.

この本を読み終わったときの率直な感想.あの事故がもう少し大きければ,日本は壊滅したかもしれない.事故そのものの重大さに加え,日本における危機管理システムが機能しなかったことが分かると,ゾッとするのは私だけではなかろう.危機管理システムにいたっては,機能しなかったというよりは,もともと存在していなかったと判断できるかもしれない.

福島第一原発事故は,まだ終結したわけではなく,これから何年続くかわからないし,原発事故にかぎらず,この種の重大事故は今後も起こる可能性は大きい.それらから市民を守るためには,どうしたらよいかを考えるためにも,本書の提示している事実は重大である.

首都圏直下型地震,富士山の噴火,西日本大震災など,近々起こっても不思議でない状況の中で,重大事故,重大自然災害に対応するまともに機能しうる危機管理システムの構築が必至であることを本書は示している.日本を壊滅から守るために.

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2月9日夜、NHKでイーハトーヴ交響曲制作のドキュメントが放送されていた。

宮沢賢治の“宇宙感”を、「初音ミク」と交響楽とのコラボで表現しようという、まったく新しい試みである。IT技術と芸術とが交わることにより、不思議な世界が創出される。

富田 勲の年齢を感じさせない、活力には感動を覚える。何歳になっても精神が若ければ、いくらでも新しいものを作ることができる。

宮沢賢治の魅力は、土俗性と宇宙感が、さりげなく合体するところに生まれると思っている。牛小屋の角を曲がると、そこに宇宙が広がっているといった感じが魅力的なのかもしれない。

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 この物語のキーワードは,「就活」と「Twitter」.

  就活によって失われるアイデンティティーを守ったり,新たなアイデンティティーを構築しようという若者達の葛藤の物語である.それにしても,就活の若者の精神に与える打撃は大きい.企業の就職担当者や学生を送り出す大学の教員や就職担当者こそよむ小説だと思う.

  TwitterなどのSNSでは,本音と建て前を使い分けることは常識かもしれない.主人公は複数のアカウントをもっていて,陰のアカウントで本音を語りながら精神のバランスを取っている.友人が、メールアドレスから陰のアカウントを見つけ出して,主人公の「本性」を暴いていく.いや,暴いていると思っている.この部分は,結構スリリングである.

 アイデンティティーを確保するためには,「完全で無くても,評価されなくてもまずは実施し,それを続けることが大切」というのが,この小説の重要なメッセージだと思う.

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この作品はkindleで無料で読むことができる.映画は,私の世代は結構見ていると思う.「どっっど どっどど どっどど どどう 青いくるみも吹きとばせ すっぱいかりんも吹きとばせ」という,歌は今でも記憶の底に残っている.田舎の小さな小屋みたいな公民館で見た映画.同級生が何かというと口ずさんでいたのが思い出せる.
 田舎の小学校に鉱山技師の子供の又三郎が転校してきて,地元の子供達と田舎の自然の中で生活する話.この物語の舞台は,昔はいろいろなところにあった風景で,多くの日本人の原風景である.この物語が,都会育ちで,こんな風景の中に育ったのでもない人々や若い人々の共感を得ることができるのは,ここで展開されている風景は,多くの日本人のふるさとへの「共同幻想」なのかもしれない.日本の自然とそこにすんでいる日本人との関係から生まれてきたもので,日本独特のものと思う.
 福島第一原発震災によって,ここで言う意味での「ふるさと」が失われたことは,日本人が心の底で大切にしていたものを崩壊させてしまったという点で,重大な出来事であった.日本人,日本文化のあり方と合わせて,真剣に感じ,考えなければならないと思う.

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 通勤時間などに,Kindle本をiPadやiPhoneで読んでいる.昨日はグスコーブドリの伝記.
 
 「クーボー大博士」が小型の飛行船で,イーハトーブ上空を飛び回っている所なんか,宮崎駿風,あるいはスチームパンク的でなかなか良い.それにしても「ブドリ」,「クーボー大博士」,「ペンネン老技師」,「ネリ」・・・.この不思議なネーミング.これが宮沢賢治作品の大きな魅力である.

 
 それにしても,この物語は悲しい物語だ.ブドリの生い立ち,最期も悲しい.ブドリの最期は,実に簡単に書いてある.『すっかりしたくができると,ブドリはみんなを船で帰らせてしまって,じぶんは一人島に残りました. そしてその次の日,イーハトーブの人たちは,青ぞらが緑いろに濁り,日や月が銅いろになったのを見ました.』.これだけです.ネリが生き延びていて,幸せな生活を送っていたというのが救いかな・・・.
 
 この物語を読みながら,前に紹介した「イチエフ」の方々を思い浮かべた.頑張ってほしい.

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プロフィール
HN:
天野一男
性別:
男性
自己紹介:
☆茨城大学名誉教授
☆東京大学空間情報科学研究センター・客員研究員
☆日本大学文理学部自然科学研究所・上席研究員
☆一般社団法人日本地質学会理事,ジオパーク支援委員会・委員長, 
 技術者教育委員会・委員長
☆茨城県北ジオパーク推進協議会顧問
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