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布施祐仁, 2012, ルポ イチエフ-福島第一原発レベル7の現場.岩波書店, 196pp.
「イチエフ」は福島第一原発の意味.福島第一原発の事故収束の最前線からのルポルタージュである.主として,第一線作業員への直接インタビューを元に構成されており,生々しい現実が伝わってくる.問題の性質上,ほとんどが匿名である.
事故当時,福島第一原発では約6400人が勤務していた.これを見ただけでも原発が巨大なシステムであることが分かる.このシステムが3.11の震災でいきなり崩壊し,とんでもない事態が発生して大変な混乱が起こっていたことが記述されている.混乱からくる問題が作業員に集中している.その,原因が重層下請け構造にあるという.
先日,新聞等に作業員に支払われるべき危険手当がピンハネされているとの記事がでていた.本書では,その状況がかなり詳しく述べられている.東京電力の元請けの下には,なんと7次請まで存在し,その内の3次請までは登録業者でそれ以下は非登録業者であるという.下位のランクに矛盾が集中してくることになる.この構造の中でさまざまなピンハネが発生している.特に,危険手当のピンハネは確かに発生していたようである.一方,事故発生直後,数十万円の日当が提示されたとのニュースが流れていたが,そのような事実は無かったとのことである.どうしてこのようなニュースが流されたのか不思議である.我々はマスコミでの報道にも冷静に対応しなければならないことを示す一例であろう.
本書の最後に,東京での原発廃止デモに対して原発作業員の中には違和感を持っている人の存在が報告されている.原発問題を考える際,この気持ちを理解することも重要であると強く感じた.
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☆茨城大学名誉教授
☆東京大学空間情報科学研究センター・客員研究員
☆日本大学文理学部自然科学研究所・上席研究員
☆一般社団法人日本地質学会理事,ジオパーク支援委員会・委員長,
技術者教育委員会・委員長
☆茨城県北ジオパーク推進協議会顧問
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