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今日は、大学の教養教育の話です。
私が学生の頃(もう40年も昔になります)、教養課程の教育は極めて評判が良くありませんでした。
シェークスピアの英語なんていくら聞いても、実用には役にたたない!
あまりにも数学的な数学は、実用的でない!
etc. etc.
そして、教養部が解体されました。
実用的な教育。
そして、効果的な教育。資格の取れる教育。
今の大学は、この方向に向かって進んでいます。
私も、一生懸命、これを推進しています。
JABEEは、まさにこの方向だと思います。
一方、最近、ふと思うことがあるのです。
実用的な教育に加えて、教養の教育も必要ではないか?と・・・
英語を例にとると、シェークスピアの英語なんて大学でなかったら学ぶのはかなり難しいのではないだろうかと思います。
イギリス滞在中、テンペストを見にいきましたが、ほとんどフォローできませんでした。
その後も、マクベスのペンギンブックを購入して読もうとしましたが、なかなか読めません。
やはり専門家の手ほどきが必要です。
大学時代にシェークスピアの講義を聴く機会があれば良かったのにと思いました。
実用一辺倒でなく、教養のための英語というのもあって良いと感じています。
時代の動きに逆らうようですが・・・
教養というのは、余裕だと思うのです。
大学1年生の時に聞いた、ソクラテスの話、杜甫の話、文化人類学の話。
今頃になって懐かしく思い出しています。
頭の中に余裕がないと、独創的な仕事はできないのではないかとも考えます・・・
夏目漱石を岩波文庫でさりげなくよんでいる、ネイティーブのアメリカ人やイギリス人がいたら、ビックリですが・・・
6月22日のブログに書いた、「風が吹けば桶屋が儲かる」話のつづき。
このたぐいの”論理”が展開されることが地球科学では多いと書いた。
特に地球温暖化に関連した議論で目につくような気がしている。
そこで、「多数作業仮説(multiple working hypothesis)」。
作用している要素が多くて、どの要素が決定的にきいているかどうか分からないような複雑な現象(例えば地球温暖化)については、この方法を採らないと「風桶」話になってしまうという恐ろしい話。
上の様な現象を解析する際には、最も聞いていそうな要素を選んで仮説を作る。
次には、この仮説になるべくあわないようなデータを収集する。
そうすると、最初の仮説はつぶれてしまう。
そこで、今度は、それらのデータを説明できる仮説を作る。
そして、それにあわないデータを収集。
・・・・・・
・・・・・・
この作業を繰り返していくと、真実に近い仮説を作ることができる。
という筋。
せちがらい昨今だと、こんなことはやっていられないので、第一ステップで結論をだして、それでおしまい!!??
これでは、地球を相手にはできません。
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先日、下のような本を読んだ。
ドキッとした。
若いとき読んで、それなりに感動した本が軒並み滅多切り。
「目から鱗」どころか、目玉そのものが落ちてしまう!
この本の79ページ。
人文・社会科学でも、上と同じようなことがある。
ローラー作戦『ある仮説を立てて文献を次々と読んでいくと、その仮説が崩れることがある。そこでまた新しい仮説を立てても、さらに読んでいくとまた崩れる。』
必ずしも、全く同じ話というわけではないが、似ている。
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調査は少ないほうが、大胆な仮説がたてられる!!??
皆が気づいていながら、目を背けている所。
日曜日の大子での調査風景です。
大学院のZさん、Tさんと出かけました。
目的は、1700万年前の淡水生珪藻化石の採取です。
ストライクスリップ堆積盆内で、環境の淡水→汽水→海水へという変化を化石と堆積相解析の両面からとらえようといもくろみです。
これが、うまくできれば、陸成相から海成相への堆積相解析の確実さを増すことができます。
地味な研究ですが、実証的堆積相解析にとっては、極めて重要です。
メインルートでの採取を終了するまでは、熱中症になるのではないかと思うくらい暑かったのですが、別のルートへと移動中に土砂降りの雨になりました。
即、調査を中止しましたが、前身ずぶぬれになりました。
私自身は、川の中2回こけて、すでにずぶぬれでしたので、平気でしたが・・・・・
水泳中のマムシにも出会いました。
フィールドは良いですね!!
爆発的な緑の中での調査は、実に充実感があります。
食わず嫌いでフィールドがいやだと行っている人、この醍醐味味わってみませんか?
一度はまると抜けられなくなります。
3年生の諸君、先週金曜日ゼミでの「デザイン能力」の発表、ご苦労さまでした。
どの班も頑張っていたと思います。
発表会での私の指摘は厳しすぎると感じた人もいるかもしれません。
頑張ったのに、悔しい思いをした人もいるでしょう。
主旨を主旨を説明します。
「デザイン能力の育成」の目標は、「社会の要請を理解し、それに基づいて事業(企画)をデザインする」ということです。
皆さんの発表は、社会の要請を理解するための調査、事業をデザインするための情報収集の点では良くできていました。
ただ、肝心の事業(企画)のデザインの部分が、かなり不十分だったと、私は判断しました。
そこで、厳しい指摘になりました。
○○○について調べなさいといった普通のレポートならば、皆さんの発表で十分でした。
でも、この科目はデザインすることが最終目的だったのです。
その点では不十分でした。
授業ですから、実際に事業を展開することは難しいでしょう。
でも、プランを作成したり、提言を作成することは可能です。
卒業後、社会でどれだけ活躍できるかは、デザイン能力の有無にも掛かってくると私は考えています。
これからも、この能力を高める努力をしてください。
へたな就活するよりも大切ですよ。
話題は跳びますが、ゼミのあり方について・・・
私はゼミとは学生と教員、あるいは学生同士の真剣勝負の場だと思っています。
学問や研究を極めるための真剣勝負の場です。
土俵にきちんと上がって、勝負をしよう!
土俵にまともに上がらない人は、仲間だとは思いません。
なれあいやごまかしからは、新しいものは何も生まれてきません。
ただの時間つぶしになってしまいます。
お互いに頑張りましょう。
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☆東京大学空間情報科学研究センター・客員研究員
☆日本大学文理学部自然科学研究所・上席研究員
☆一般社団法人日本地質学会理事,ジオパーク支援委員会・委員長,
技術者教育委員会・委員長
☆茨城県北ジオパーク推進協議会顧問