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文科省が「2015年度英語教育力状況調査」結果を報告した.それによると,我茨城県は,中学が47都道府県中12位であったが,高等学校はなんと42位であった.こんな結果を見ると,瞬間的に茨城県はここでも遅れていると思ってしまい,なんの論拠もなく茨城県が好感度最下位ということと結び付けてしまう.この種の議論は良くある.

しかし,ここで冷静にならなければならない.なぜ文科省は,全国の都道府県に順位をつけてあおるのか考えなければならないと思う.ここで言っている英語教育が本当に青少年の教育にとって必要欠くべからざるものなのか?

最近強調されている英語能力はコミュニケーションができるものである.まずは話せて,聞けることが重要視されている.確かに,英語でコミュニケーションが取れれば世界は広がる.その上,読めて書ければ,活躍の場はグローバルに広がるかもしれない.

ただ,このような英語力を必要とする者が日本人の全人口の何パーセント必要なのか.ほとんどの日本人が英語によるコミュニケーションが取れなければならなのかは真剣に検討する必要がある.多くの議論はグローバル化した世界の中での日本の生き残りというような切羽詰まったことが前提になっているような気がする.

日本語の能力が不十分なうちに英語をつめこむと,子ども達の思考能力を落としてしまうという指摘が盛んになされているにも関わらず,文科省が前のめりに初等中等教育での英語教育を推進していくことに疑問を感じる.
言い古されたことではあるが,まずは日本語によるコミュニケーション能力をつけることと,日本語で論理的に考える能力をつける訓練が必要であることを再認識し,この前のめりの英語教育推進に対して冷静に対応することが必要である.


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桐野夏生「バラカ」(2016,2/26) 集英社発行,656pp. ISBN-10:4087716465
2011年の福島第一原発事故から5年が過ぎた.事故の終息の方向すら見えないまま時だけが経過し,社会の関心が次第に薄くなってきている.
その一方で,日本全体がG7サミットや東京オリンピックでなんとなくはしゃいでいる.
 
これは,そんな雰囲気の中で生きている人々に衝撃を与える小説である.
福島第一の4基の原発が全て本格的に爆発し,大量の放射性物質が放出され東京を含む東日本全体が汚染されてしまった状況想定されている.
その中で被爆した幼児の「バラカ(薔薇香)」の8年間を中心に,周囲の人間の生き様が描かれている.
人間の根底にある悪魔的な部分,卑しい部分が,原発事故により露わになっていくところが良く描かれていて,読み進むにつれ言って気分が悪くなる.ただ,さもありなんとも思うのである.
原発推進派や反対派の思惑や,それに翻弄される人々,政府の対応,被害者同士の対立などなどおぞましい話が次々に展開されている.

ここで展開されているのは小説という舞台のことではあるが,現実も一枚表面の皮を剥がすと,その下からこれと似たようなことが出てくるかもしれないと思わされ,心穏やかならざる読後感を持たされる本である.

読後,先日聞いた,小出氏の講演での質問者に対する回答を思い出した.
「電気に恩恵を被って生活している我々は原発には反対できないのではないか?」というよくある疑問に小出氏はどう答えるかという質問.
小出氏の回答:この疑問にはどう答えてよいかわ分からないと断った上で,「自分の受益や便宜さのために他者を犠牲にしてはならない」というのが原則ではないだろうか.

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http://blog.tatsuru.com/2016/03/13_1552.php

常に変化を求め,拡大成長していく資本主義に世界が疲れている.
この辺で一旦休む必要があるのではないかという内田 樹による論考.

政治,経済に限らず科学技術においても同じ状況にあると私も思う.
一旦休んで,体制を整えないと世界はその存続が危ういかもしれない.

少し前に読んだ広井良典「ポスト資本主義−科学・人間・社会の未来−」(岩波新書)の中の以下の記述を記憶に留めておきたい.
『二一世紀は,なお限り無い「拡大・成長」を志向するベクトルと,成熟そして定常化を志向するベクトルとの,深いレベルでの対立ないし,”せめぎ合い”の時代となるだろう』(244p.)

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高橋源一郎の朝日新聞の記事『〈SMAPの謝罪〉社会に潜む暗黙のルール』を読んだ。

社会の持っている暗黙のルールに、たとえ正義感からでも、反した場合は社会から干されてしまうという記事。
この構図は、日本の社会のいたるところにあると思う。
多くの場合、人々はそれが怖くてものも言わなくなったり、そのルールを「忖度」して発言や活動を停止してしまうのだろう。
ことを進めようとする場合、これが致命的になることが多いような気がしている。

この記事の中で紹介されていた、藤原新也が雑誌「SWITCH」で書いた福田和香子へのインタビュー内容に注目したい。

 『「周りの友達と上手(うま)く馴染(なじ)むこともできないし、無理して合わせるのも変だよなと感じて」いた福田に、事件が起きる。「中学の家庭科の先生が『君が代』不起立をやって」左遷されたのである。その処分の後、校門の前に立ってひとりで抗議をしていた先生に「頑張ってね、応援してるよ」と声をかけられなかった福田は、その悔いを残したまま、やがて国会前のデモに行くようになる。けれども、そんな彼女の周囲にいた、以前からの友人たちは、離れていった。
 それもまた、「謝罪」のために立ち尽くすアイドルグループのように、わたしたちにとって馴染み深い風景なのかもしれない。どちらも、この社会が隠し持っている暗黙のルールに違反したから起こったことなのだ。 
 自分の「正義」に疑いを抱きながら、それでも、「危ういバランス感覚」で活動をつづける自分について、福田はこういっている。
「下手に正義を掲げて突っ走ってしまったら、すごく偏った人間になってしまうから。半分靴紐(くつひも)がほどけていて、全力では走れなくてダラダラ歩いているぐらいのほうがいいのかなとも思う」

最後の部分が良い。

http://www.asahi.com/articles/ASJ1V5QRDJ1VULZU00K.html?ref=nmail

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☆茨城大学理学部:教授
☆茨城県北ジオパーク推進協議会・運営委員会:委員長
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