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益川敏英,2015, 科学者は戦争で何をしたか.集英社新書, 183pp.(ISBN978-4-08-720799-6)
[1940生75歳]★★★★★

  今,大学は大きく変わろうとしている.18歳人口の減少,大学の増加にともなう学生の学力が低下などに対応して大学が変わらなければならないという状況は確かにある.しかし,今進んでいる改革は,もっと本質的な大学や学問のあり方にかかわる重要かつ危険なものと思われる.

 本書では,マンハッタン計画による原発の開発やジェーソン機関でのベトナム戦争への科学者の積極的な協力などについて紹介され,科学や科学者が潤沢な研究費やポジションを求めて陥る危険な側面について論じられている.ノーベル賞級の優秀な科学者ですら,それを免れないという.

 近年,科学の世界では,「選択と集中」のもとに資金を特定の儲かりそうな分野にピンポイントで投入していく傾向が強くなっている.日本もその例外ではない.そのためSTAP細胞問題などの不正行為が続出する.この延長線上に軍学共同研究があり,日本でもその動きが出ている.こんな中で阿倍政権の暴走が起こっており,日本が再び戦争に巻き込まれていく危険性は大きい.大学も危険な方向に進んでいく可能性は大きくなっているという.

 本書の最終結論は,今こそ科学者は「科学者である前に人間たれ」の精神に戻らなければならないということである.言い換えれば,科学者も生活者としての目線を忘れてはならないということになる.

 政治の世界や大学で現在起こりつつある危険な状況に多くの人々は気づいている.一方,周りの空気を読んで発言を控える人が多いのも事実である.言うべきときに言うべきことをいわないでぼけっとしていると,取り返しのつかないことになるぞというのも著者の主張であろう.

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ある知人から昔言われたこと.
「年をとってくると,ああはなりたくないと思っていたような人と同じになってしまいそうで恐ろしい!」.
周りを見渡すと,そんな人が沢山いた.
困ったものだと他人事のように思っていた.

でも,自分が年をとってみると,自分自身が同じ路をたどっていることに気づき,唖然とすることが多い.
よほど強い意志や信念がないと,人間はその時々で都合のよいように変わってしまう.
若い時よりも,あらゆる場面で用心しないとそうなってしまう.

ある方のfacebookの記事への私のコメントを再録する.
 たまたま母校松本深志高校で昔使われていた政治経済の補助教材(昭和52年度)を見ました.そこにこんなことが書いてありました.『知識人の類型は,A型:意識的,無意識的に体制を維持,指導する役割を果たす者.B型:体制の現状に批判的で,いろいろな不満を抱きながらも結局は現状に妥協する者.C型:反体制運動の側に立つ者,この中にはA型を目指したのが挫折してC型になった者もいる.反権力組織の中にも「権力志向型」の人間がいる.変革期におけるC型は,改革達成時にはA型に転化する.』高校生に対して,こんな授業をしていた教師がいたんです.

もっと些細なことでも,自分が妥協し堕落していく場面がいたるところにあることを日々感じている.

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 広島,長崎の原爆に関連してテレビでの報道が多くなされている.そんな中で気になることがある.それは,最近,学校において被爆者体験談を聞く機会が急速に減っているという報道である.被爆者が高齢化しているというのが一つの理由だが,これは理解できる.しかし,もう一つの理由が気になるのである.曰く,「敗戦から長い年月がたち今の子ども達は戦争については実感がなくなっている.したがって,そのような子ども達に原爆の悲惨な事実をそのまま伝えても良いのだろうか?子どもにとってトラウマになってしまうのではないか?子ども達には残酷な話を聞かせたくない」.こんな意見を教育現場の教師が言っているのである.

 正直とんでもないことを言っていると感じた.人間は戦争という場では,どんな酷いことをしでかすのか.そのような人間の暗部を,子どもの時から知るべきだと思う.真実を知って,それをきちんと理解し,自分の生き方に活かせるような強い子どもを育てるのが教師ではないのかと思う.教師自体が弱体化しているのだろうか?被爆体験者の話はいろいろな形で子ども達につたえなければならない.そうでないと,将来戦争をしてしまう人間を作ってしまうのではないかと心配である.

 戦後70年,政治,教育,科学,技術などさまざまな面で,倫理的な劣化が起こっていると思うことが多い.気持ちの悪い時代になりつつあると感じる.

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今,日本では大変なことが起ころうとしている.
現代の大衆の一人としての自分の位置づけが必要な時がきている.

http://blog.tatsuru.com

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村上達也・神保哲生, 2013, 東海村・村長の「脱原発」論.集英社新書,217pp.(ISBN978-4-08-720702-6)

 

 村上元東海村村長による脱原発論である.これを読みながら20113.11の震災のことを思い出していた.福島第一原発のメルトダウン直後に,水戸から家族を関西に避難させた知り合いがいた.その時には少し大げさでは無いかと思った.

 ところが,この本を読むと東海第二原発も「フクシマ」寸前だったと言う.それを免れたのは,単に偶然であったに過ぎなかった.もし,東海第二原発で「フクシマ」が起こっていれば,水戸は東海村から10数キロであるから,即避難しなければならなかった.即家族を避難させた知人は,正しい判断をしていたことになる.

 ところで,村上元村長が,この事実を知らされたのは半年後であったとのこと.これは恐ろしいことである.この本を読んでゾッとした.原発震災以降,市民の科学者・技術者や政治家に対する信頼度が落ちるのはこんな所からも原因がある.

 1999年のJOC臨界事故で,事故への対応について学んだはずであったのに,2011年にはそれがほとんど生かされなかったと指摘されている.

 原発震災といった深刻な問題ですら,時間と共に風化がはじまっている.

これからの日本の原発問題,エネルギー問題を考える上でも,必読の書である.

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