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桐野夏生「バラカ」(2016,2/26) 集英社発行,656pp. ISBN-10:4087716465
2011年の福島第一原発事故から5年が過ぎた.事故の終息の方向すら見えないまま時だけが経過し,社会の関心が次第に薄くなってきている.
その一方で,日本全体がG7サミットや東京オリンピックでなんとなくはしゃいでいる.
 
これは,そんな雰囲気の中で生きている人々に衝撃を与える小説である.
福島第一の4基の原発が全て本格的に爆発し,大量の放射性物質が放出され東京を含む東日本全体が汚染されてしまった状況想定されている.
その中で被爆した幼児の「バラカ(薔薇香)」の8年間を中心に,周囲の人間の生き様が描かれている.
人間の根底にある悪魔的な部分,卑しい部分が,原発事故により露わになっていくところが良く描かれていて,読み進むにつれ言って気分が悪くなる.ただ,さもありなんとも思うのである.
原発推進派や反対派の思惑や,それに翻弄される人々,政府の対応,被害者同士の対立などなどおぞましい話が次々に展開されている.

ここで展開されているのは小説という舞台のことではあるが,現実も一枚表面の皮を剥がすと,その下からこれと似たようなことが出てくるかもしれないと思わされ,心穏やかならざる読後感を持たされる本である.

読後,先日聞いた,小出氏の講演での質問者に対する回答を思い出した.
「電気に恩恵を被って生活している我々は原発には反対できないのではないか?」というよくある疑問に小出氏はどう答えるかという質問.
小出氏の回答:この疑問にはどう答えてよいかわ分からないと断った上で,「自分の受益や便宜さのために他者を犠牲にしてはならない」というのが原則ではないだろうか.

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